2013年9月10日火曜日

           国史跡 武蔵府中熊野神社古墳


府中地区保護司会 広報部会 


 この古墳は、平成15年に西府町2丁目に所在する熊野神社境内の発掘調査で確認され、平成17年に国史跡として指定されました。
  全国に30万基あるとされる古墳のうち、上円下方墳(盛り土の上が円形で下が方形となる)は、この古墳を含めて、わずか3基しかありません。しかも、この古墳のように墳丘・石室の全貌がわかる例は大変珍しく、発掘調査でみつかった7曜文が象嵌(7つの円文からなる模様を刻み、銀線を埋め込んで表現)された直刀の鞘金物は、全国的にも類例のないものです。
  古墳の形や発掘された遺物から、古墳が造られた年代は7世紀中頃と推定されますが、この古墳を造り葬られた人物は、武蔵国の国府が府中に置かれた謎を解く、いわば鍵を握る人物と言えるでしょう。つまり現在の国府の街「府中」のルーツとも言うことができる古墳なのです。
  熊野神社は、国道20号線(甲州街道)が鎌倉街道と交差する「本宿交番前」の交差点の北西角から、八王子方面に220メートルほどの場所にあります。北に伸びる参道の突きあたりに社殿があり、さらに奥に復元をされた古墳が姿を現し、そして国史跡武蔵府中熊野神社古墳展示館が完成しました。皆様是非足をお運び下さい。


 

 



                 苑生に見守られて~私の育児~

八王子地区保護司  倉島ひろみ(紫翠苑)
更生保護施設「紫翠苑」に勤務しながら、妊娠・出産・子育てというライフイベントを経験させていただいています。
  私自身は高齢出産ですが、若年出産をした苑生の少女からは「私のときはこうだったよ」とたくさんのアドバイスをもらいました。ノートいっぱいに子どもの名前を考えてくれた少女、大きくなったおなかをさすりながら「今日の就労面接がうまくいきますように」と拝んでいた少女、成人の苑生たちも気づかってくれました。
大きくなっていくおなかをみんなが楽しみにしてくれて、私にとっても苑生たちにとっても、あたたかな時間が流れていました。
  長男を出産し、行事や休日など機会をみて子連れで出勤しています。苑生たちの多くは子どもを施設や家族に預けています。特に少女たちは産んですぐに離れ離れになり、「子ども」を実感できづらい状況にあります。おそるおそる離乳食を食べさせてくれる人。懐かしそうにオムツを換えてくれる人。泣き出したらあやしてくれる人。長男をとおしてそれぞれの子どもや子育てしていたころの感情を思い出しているようです。女性にとって「子ども」の存在は大きく、生きていくための源でもあることを改めて実感しています。
 
  紫翠苑という多世代多様な家族のなかで育み育まれている長男。成長を見守ってくれる人がたくさんいることを幸せに感じています。そして長男とのふれあいが、苑生たちの更生意欲に少しでも良い影響を与えることができたならどんなに素敵なことかと期待しています。