2015年11月3日火曜日


           心に残った講演会


北多摩東地区保護司会  国分寺分区 坂 田 米 子

 先日参加した関東地方保護司代表者協議会で、ある講演を聞く機会があった。講演者は作家・エッセイスト(私立豊川高校教師)宮本延春氏で、タイトルは「人は、その人だけで大切な存在」というものだ。 
  宮本氏は小からいじめを受け勉強も学校も丸ごと嫌いになり、中学1年の一学期の成績表はオール1、中学卒業時は音楽と技術だけが2で他はすべて1というありさまで、掛け算九九はの段まで、漢字は自分の名前が書けるだけ、英語はooしか書けない状況であった。「自分は勉強をやってもできない、正真正銘のバカなんだ。」と思い込んでしまう。中学校を卒業したときの歓びは、「これで学校に行かないで済む。」という思いだけであった。
  高校進学をあきらめ、工務店で大工の見習いとして働くようになるが、親方から口で言うより先に手を出す扱いを受け、強い不満をもつようになった。そんな中、16歳で母を、18歳で父を亡くし、天涯孤独の身となる(小4のときに父から養子であることを知らされていた)。しかしながら、中学時代から始めた少林寺拳法で国際親善試合に出場できたことで「自信」をもち、また、音楽仲間と知り合い、バンド活動で「音楽」に楽しみを見い出していった。「一生この不満だらけの会社で働いても、満たされる日は来ないだろう。やらなかった後悔だけは絶対したくない」との決心で工務店をやめ、音楽活動に力を注ようになるが、収入は途絶え、極貧の生活を過ごす。
  バンド仲間から豊川市にある渋山建設という会社を紹介されこの会社で働いたことが運命を大きく変えることになる。会社の社長や専務から、親身に接してもらい、人して大事にしてもらった。「大切にしてくれた人は大切にしたい。社長のために働きたい。仕事で恩をかえそう。真剣に仕事をしよう。」と「働くことの楽しさ」を知り、音楽は趣味として楽しむものに変わっていった。そして、この渋山建設で正社員となり、初めて健康保険証をもつことができ経済的にも安定した生活を送れるようにな
  さらに、少林寺拳法の道場で知り合い、後に妻となる女性から一本のビデオテープ「NHKスペシャル アインシュタインロマン」を借りて、それを見た瞬間に新たな人生のスイッチが押された。「アインシュタインロマン」に強い感動を覚え、物理学に興味をもつようになると、勉強がしたくなり、大学進学を目指すことになる。
  まずは、高校入学に向けて猛勉強し24歳の高校生になる。高校に入学すると、理学部のある名古屋大学を目指して、寝食を忘れて不撓不屈の精神で勉強に打ち込んだ。この間、高校の担任、数学担当、校長をはじめ多くの先生方からきめ細やかな配慮を受け、数学の先生は、夏休み中でも送られてくる数学の解答に応えたり、夜12時頃まで補講をしてくれる等勉強のキャッチボールが行われた。こうして、27歳の名古屋大学物理学部物理学科の学生が誕生した。
  大学卒業後はさらに大学院に進み、それからの人生を考える、自分ならいじめられっ子の気持ちも、劣等生の気持ちも、生活の辛さもわかる教師になれるのではないかと思うようにな。いじめに苦しみ、勉強ができずに悩んでいる子ども達に手を差し伸べ、夢や目標をもつ手助けをしたい。豊川高校で先生方から受けた恩を、教育の現場で返していくことがこれからの自分の道であると考えるようになり、母校の豊川高校の数学の教師として教壇に立つことになった。
  以上のように、講演内容は講師の人生のその時々の気持ちをありのままに吐露するもので、保護司として対象者に対する姿勢、また、一個人として人生を送る上でも示唆に富むものであった。
  講師は、前述のようにつらい状況にありながらも、逆境の半生が感じられない快活、爽やか、前向きな考えの持ち主との印象を受た。しかし、渋山建設の社長や専務との出会いについて話す時には目を潤ませていた。そして「人と人との出会いの大切さと目標を持ちそれに向かって努力することの大切さ」を説いてい
  保護司として、対象者に接する際には、毅然とした態度とともに、対象者に寄り添い包み込むような包容力を持ち合わせる事が大切だ。理想ではあが、対象者にとって「この保護司と出会えてよかった。生きる目標がつかめた。」と思ってもらえるような存在でありたいと感じた。

 
   私と水彩

日野・多摩・稲城地区 伊野光雄

緑一色だった山々も、秋の深まりと共に色づき始めました。スケッチブックを持ち自然の中で、のどかなひと時を過ごせたら楽しいだろうと想像を巡らせています。

昔から絵に興味があったわけでなく、50代過ぎ頃年老いてからの趣味の一環に何かをと思っていたころ、身近なところで絵画展など開催されている処に足を運ぶようになり、書店で絵画への手引きなる本を読んだりし、少しずつ絵の魅力に魅かれていった感じです。

同好会のサークルに入り指導を受けた経験もなく自分よがりに描いています。最近我流からの脱出を目指していますが、中々それが出来ないでいる。ここに来て改めて基礎知識の大切さを身に染み感じています。

絵になりそうなスポットの情報を得て赴くと、早くから陣取って人目も気にせず堂々と写生に没頭している人々の姿に圧倒され、簡単なスケッチをしてカメラ撮影をして帰ってくる情けなさです。これも自信のなさが災いしている一面です。

そのような状況で描いた絵を紹介します。

 

こもれびの径

田舎の風景
 
 

晩 秋
涼  風